2015年5月23日 (土)

消費のカギ握る年金生活者、日銀に「ジレンマ」も

 5月22日、日本では雇用や賃金の改善にもかかわらず、消費は依然弱々しい。その謎を解く1つのカギは年金生活者にあるとみられている。約4000万人と総人口の3割を占めるにまで増加したことで、賃金や雇用の改善が波及せず、消費増税や物価上昇の影響が大きく出ているという。物価は上げたいが、物価が上がり過ぎては消費を押さえてしまうため、日銀にとっての「ジレンマ」でもある。

<雇用や賃金は改善>

15年ぶりの高値を回復した日経平均<.N225>に対し、国内景気はもたついたままだ。20日に発表された1─3月期国内総生産(GDP)は2期連続のプラス成長となったが、在庫増加の押し上げ効果が大きく素直には喜べない。

景気の伸びが依然として鈍いのは、消費が思ったように回復してこないことが大きい。1─3月期GDPでは、民間消費は前期比プラス0.4%だった。雇用や賃金が改善、原油安の効果もありながら、伸び率は10─12月期と同じ。力強さは感じられなかった。

賃金や雇用は確かに増えた。「官製春闘」との批判もあるが、アベノミクスの下で雇用や給料が増えているのは事実だ。

3月の毎月勤労統計で現金給与総額(事業所規模5人以上)は、前年比0.1%増の27万4924円で4カ月連続の増加。フルタイム労働者(前年比0.6%増)だけでなく、パートタイム労働者も0.6%増と正社員と同じ伸びだ。有効求人倍率は1.15倍と約23年ぶりの高水準となっている。

それにもかかわらず、消費の回復は鈍い。外国人観光客の「爆買い」効果がなければ、もっと落ち込んでいたとみられる。

<人口の3割に増加>

賃金上昇にもかかわらず弱い消費。そのギャップを解くカギは、公的年金者にあるとシティグループ証券・チーフエコノミストの村嶋帰一氏はみる。「公的年金受給者が増加し、雇用や賃金の改善とは直接関係のない人たちが増えていることで、賃金上昇などの好影響が及ばなくなっている」という。

重複を考慮した公的年金の実受給権者は1997年度の2627万人から、2013年度には3950万人に増加した。総人口に占める割合は21%から31%に上昇。雇用者数の5580万人(今年3月、総務省労働力調査)の70%という存在に膨張している。

公的年金の伸び率はゼロで押さえられることはあっても、ここ16年間、プラスになることはなかった。14年度は0.7%の削減。そこに14年4月の消費税増税と円安による物価上昇が重なったことで、年金生活者の消費が圧迫されている可能性が大きいという。

「増税と公的年金の引き下げで、14年度に年金生活者の実質購買力は4.2%低下した。13年度の社会保障給付額は83兆円。所得税・社会保障負担額差し引き後の賃金・給与額143兆円の5割を超える。1994年度は29%だったから、消費に対する影響度は極めて大きくなっている」と村嶋氏は話す。

<先食いのツケ>

実は、この6月から、年金受給額が16年ぶりに増加する。公的年金の年金額は物価と賃金の変動に応じて年度ごとに改定されるが、物価と賃金がようやくともに上昇したためだ。6月15日の支払い分から満額の老齢基礎年金は年77万2800円から78万0100円に7300円増える。

しかし、増額率はわずか0.9%。物価上昇率がゼロ%で推移すれば、年金生活者の実質購買力は増加するが、1%を超えれば、やはり目減りとなり、消費増の期待は薄れる。日銀の15年度の物価見通しのプラス0.8%なら、ほぼ横ばいだ。

物価は上げたいが、物価が上がり過ぎては年金生活者への圧迫要因となり、日銀が期待する消費は伸びない。日銀にとっては「ジレンマ」だろう。

今回の増額率が0.9%と小幅なのは、過去の「ツケ」を清算しなければならないからだ。2000年から02年度にかけて物価が下落したにもかかわらず、年金額を据え置かれたため、法律が本来想定した年金額に比べ2.5%高い水準が支払われていた。

その分を13年度からの3年間で解消するため、今年度は0.5%引かれることになっている。

本来なら、今年度は賃金上昇率に合わせて2.3%分が増額されるはずだった。だが、ツケのマイナス0.5%と、現役世代人口の減少等を考慮したマクロ経済スライドによる0.9%マイナスと合わせ、計0.9%の増加分にとどまった。

将来の先食いをした悪影響が今、出ている一例と言えよう。

ロイター 5月22日(金)15時53分配信

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2014年9月 1日 (月)

<生活保護費>三重受給で48歳被告を再逮捕 静岡県警

 生活保護費を3市から重複受給したとして、静岡県警は1日、住所不定、無職、春日野美保被告(48)=詐欺罪などで静岡地裁で公判中=を詐欺容疑で再逮捕した。三重受給の立件は極めて異例。弁護人によると、容疑を大筋で認めているという。他にも三重受給を繰り返していた疑いがあり、県警が調べを進めている。

 再逮捕容疑は、東京都三鷹市と相模原市で生活保護費を重複受給しながら、2013年3~5月に川崎市からも保護費を受給し、約64万円をだまし取ったとしている。【井上知大、荒木涼子】

毎日新聞 9月1日(月)14時26分配信

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2014年7月15日 (火)

人口減、15道県に対策組織…就職・婚活・育児

歯止めがかからない人口減に対し、全国の自治体に危機感が広がりつつある。

 読売新聞の全国調査によると、20~39歳の若年女性の激減に伴う「自治体消滅」の可能性を指摘した5月の「日本創成会議」(座長・増田寛也元総務相)の報告後、都道府県のうち岩手県など5県が全庁的な組織を新設したほか、2県が近く設置を予定しており、同様の組織は設置済みと合わせ17道県に達した。人口減問題は多くの自治体にとって最大の課題になっており、全国知事会は15日、佐賀県で開催する全国会議で初めて、議題として取り上げる。

 5月の報告後に組織を設けたのは、岩手、山形、群馬、富山、福井の5県。それ以前に設置済みは、北海道、青森、秋田、栃木、千葉、新潟、静岡、鳥取、高知、佐賀の10道県。今後、設置予定は岐阜、徳島県。

 北海道は日本創成会議の報告で、2040年の若年女性の減少率ワースト10位までに6市町が入る。「人口減の要因はいくつもあり、対策を講じる上で連携の必要がある」(政策局)と4月に20課の主幹級によるワーキングチームを設置。

読売新聞 7月15日(火)3時4分配信

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2014年7月 5日 (土)

公的年金の黒字、10兆円超…国内外株価が上昇

 公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF※)は4日、国内外の株価上昇により、2013年度の運用実績が10兆2207億円の黒字だったと発表した。GPIFは、国内株式の運用比率が約16%に達しており、目安とする約12%を上回っているが、13年度の運用実績が大幅な黒字となったことで、株式での積極的な運用を求める声がより高まりそうだ。

 運用資産は3月末時点で126兆5771億円。国内株式など保有するすべての資産で運用益が出て、黒字額は自主運用を始めた01年度以降で2番目に多かった。

 黒字の内訳は、外国株式4兆7387億円、国内株式3兆1855億円、外国債券1兆7777億円、国内債券3653億円だった。運用実績が好調だった背景には、安倍政権の「アベノミクス」によって国内で株高が続いている影響がある。米国の景気も堅調で、海外でも株価が上昇したため、運用益を押し上げた。

 GPIFは、5年ごとに運用方針を見直しており、15年度から新たな運用方針を適用する。10月中にも新しい方針を策定する見通しだ。政府は、株式市場への資金の流れが増え、株価を押し上げる効果や年金資産をより増やすことを念頭に、株式比率を高める運用見直しに期待感を示している。

 ※GPIF=Government Pension Investment Fund
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読売新聞 7月4日(金)20時57分配信

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2014年6月 8日 (日)

基礎年金の水準低下、30代以下の世代にダメージ 年金財政検証

 5年に1回行われる年金の財政検証の結果が出た。経済成長や平均寿命などの新しいデータを反映させ、100年後までの年金水準をチェックする。だが、結果は厳しい。水準調整機能が発動されなかった過去10年の間に、年金水準は逆に上昇。その回復に時間がかかり、今の30代以下の特に基礎年金水準に大きなダメージが出る結果となった。(佐藤好美)

 厚生労働省が3日に開いた社会保障審議会の年金部会。委員から基礎年金の水準低下を懸念する声が相次いだ。

 「基礎年金の『劣化』をどうするかが問題」

 「基礎年金の所得代替率が低下している。この層への対応が急がれる」

 「基礎年金の割合が大きく落ちている。今後、厚生年金と基礎年金の役割分担をどう考えるか、真剣に考える必要がある」

 委員らが問題にしたのは、財政検証で示された将来推計の中で、特に基礎年金の所得代替率が下がったこと。

 検証結果では、今年36歳になる世代が年金を受け取り始める平成55年度に所得代替率は50・6%(経済が標準的に成長するケース)で下げ止まる。だが、基礎年金の所得代替率は26%。5年前から「基礎年金の水準が低い」との指摘はあったが、さらに割り込んだ。現在の生活水準に照らすと、満額で1人月額4・5万円(現在は6・5万円)を意味する。実際に受け取る際には物価や賃金の上昇を反映するため、額面はもっと高くなる。だが、物価も賃金も今の水準にみなすと、この数値。基礎年金だけで暮らす世帯を考えると、ダメージが大きい。

 基礎年金の水準低下は5年前の財政検証の際に兆しがあったが、改革は手つかずになった。痛みを伴う改革を、厚労省も政治家も国民も回避したかったことが大きい。

 若い世代の年金にダメージが出たのと裏腹に、今年65歳を迎える世代の年金水準は62・7%となった。この数値は、実は5年前の年金水準よりも高い。現役世代の賃金に対する年金の価値が5年前よりも高くなったことを意味する。デフレ下で賃金が低下する一方で、年金は賃金ほど下がらなかったためだ。

 現役世代が減る中、保険料負担が過大になることから、年金は水準を抑制する方向。だが、現実には上昇したもので、年金部会の委員からは「高止まりした給付水準を早く見直してほしい」と注文がついた。

 ■改革案、改善見込めるが実現は不透明

 厳しい結果を踏まえ、改革の方向が問われる。ただ、先行きは険しい。まず、試算の前提になった指標が本当にこの形で推移するのかが危ぶまれる。

 例えば、試算の前提では女性や高齢者の労働参加が進むことを織り込んだ。女性が出産後に離職して労働参加が落ち込む「M字カーブ」も解消すると見込む。

 だが、年金部会ではこんな声も出た。「試算はM字カーブが改善され、ほとんど台形になる前提だが、これを変えるには、日本社会の考え方そのものを変えていくようなメッセージが必要。ちょっと保育園を増やすとか、学童保育を増やすとかいうことでは済まない」

 年金の水準低下を食い止める改革案と試算が示されたが、厚生労働省自身が「いずれもハードルは高い」と漏らす。

 1つ目は、物価や賃金の伸びが低い場合でも年金の引き下げが発動されるよう、「マクロ経済スライド」を強化すること。実施すると、経済が低成長で推移した場合でも、5%程度の所得代替率の改善が見込まれる。額面が減るため、強い抵抗が予想されるが、これから年金を受け取る世代だけでなく、唯一、受給世代も痛みを分かち合う案だ。

 2つ目は、厚生年金の適用範囲を広げる案で、(1)中小事業所のパート(2)非適用の個人事業所-への拡大が挙がる。非適用事業所に厚生年金を適用すると、所得代替率は6%を超える改善が見込まれる。だが、年金実務に携わる関係者はこう漏らす。「実際問題として所得や報酬の把握ができるのか。個人事業所の中には賃金台帳や給与規定がないところもある。就業実態のない家族が社員になっていることもある。他への波及を考えると、本当に適用がいいのかどうか分からない」

 3つ目は、基礎年金の加入期間を延長する案。現在40年の加入期間を45年に延長する案で、こちらも年金水準が6%以上も好転した。いわば、働く期間を延ばして年金水準を維持する方法。制度発足以来、65歳男女の平均余命はほぼ2倍に伸び、受給期間も延びたことを考えると、妥当な選択かもしれない。年金制度の健全化には、収入を増やすか、支出を減らすかしかない。早い段階で実施できればダメージも小さいが、手をこまねいていると、後世代のダメージばかりが大きくなる。

【用語解説】所得代替率

 年金の水準を見る指標。現役男子の手取り収入を100とした場合、年金がどの程度に当たるかを示す。年金額は実際には、個々人が納めた保険料や世帯構成によって異なるため、財政検証では、指標として「40年間平均的な収入だった会社員の夫と、専業主婦だった妻」のモデル世帯の年金を見る。年金水準の引き下げが予定される中で、最終的に所得代替率が50%を割らないことが一つの目安になっている。

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2014年5月15日 (木)

受給者数、5カ月ぶり減=2月の生活保護―厚労省

 厚生労働省は14日、2月に生活保護を受給した人が前月比1546人減の216万6381人になったと発表した。受給者数が減少に転じたのは5カ月ぶり。受給世帯数も368世帯減の159万8818世帯で、10カ月ぶりの減少となった。このところ受給した人数、世帯数ともに過去最多の更新が続いてきたが、厚労省は「受給者数の伸びに鈍化がみられる」としている。
 受給世帯のうち、母子世帯や傷病者・障害者世帯は減少したが、高齢者世帯は全体の45.5%を占める72万4121世帯で、前月より増加した。 

時事通信 5月14日(水)13時8分配信

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2014年4月27日 (日)

<介護職>低い賃金で疲弊 相次ぐ離職「仕事夢ない」

 過酷さの割に賃金が低いと指摘される介護職。政府も手は打ってきたものの、依然、他業種との格差は埋まらない。人材確保には、賃金アップか外国人の活用か--。ここへきて国の姿勢も揺れている。【遠藤拓、佐藤丈一、中島和哉】 

 常夜灯がぼんやり照らす廊下を、おむつやタオル、ごみ箱を積んだ台車が行き来する。11日深夜。東京都葛飾区の特別養護老人ホーム(特養)「葛飾やすらぎの郷」に勤めて3年目、生活援助員の宮崎梓さん(22)の夜は長い。

 1フロアには約40人が入居する。大半は80~90歳代で7割は認知症だ。同僚と2人、一晩で4回は巡回し、おむつを替え、トイレを介助し、体位を変える。消灯後も徘徊(はいかい)する人はいるし、繰り返し呼び出しボタンを押す人もいる。

 ひと息つけるのは午後11時の食事と2時間の仮眠の間だけ。「朝方トイレに行きたくなりそう。でも、呼ばないようにする」。そう気遣う女性入居者に、宮崎さんは「気にしなくていいんですよ」とほほ笑んだ。

 月4~5回の夜勤日は、午後5時前から翌朝10時前までの勤務。しかし、この日は引き継ぎ書類の記入やシーツの交換に追われ、朝食にありつけたのは昼近くになっていた。

 ◇平均を9万円下回る

 正規職で介護福祉士の資格を持つ宮崎さんの月給は、手取りで約18万円。15万円を切るという同業の友人よりは「恵まれている」と感じる。とはいえ、介護労働者の賃金は他業種に比べて低い。全国労働組合総連合のアンケート調査(昨年10月)では、手当を除く正規職の平均賃金は20万7795円。厚生労働省調査の全産業平均(29万5700円)を約9万円下回る。

 長らく介護は主婦による家事労働とみなされてきた。職業としての確立が遅れ、低賃金から抜け出せない。介護労働安定センターによると、介護職の離職率は17.0%(2011~12年)で、全産業平均(14.8%)を上回る。求職者1人に働き口がいくつあるかを示す2月の有効求人倍率は2.19倍。全産業平均(1.05倍)の2倍だ。

 「家族を養えないからな」。首都圏の介護施設に勤める30代の男性介護福祉士は、結婚を機にそう言って「寿退社」していく仲間を大勢見送ってきた。この道7年目。専門学校の同期80人のうち、続けているのは十数人。自身の手取りは初任給から2万円ほど上がり、ようやく月約23万円となった。が、同業の妻は初めて産んだ子の育休中。共働きでなければ生活は成り立たず、保育所を確保できるかが不安でならない。

 「仕事に夢を見られない。このままなら、なり手はどんどんいなくなる」

 日本海に臨む金沢市郊外の特養「やすらぎホーム」。入居する母(83)の昼食介助に隣の石川県野々市市から訪れる主婦(64)は通ううちに介護職員の疲弊を知り、入居者の家族と職員の処遇改善を求める署名に取り組むようになった。

 母親が入居したのは06年10月。脳梗塞(こうそく)で半身不随となり、食事、排せつなどすべてに介護が必要だ。感情が高ぶるとパジャマを歯で切り裂く。そんな母をてきぱき世話してくれる職員たちも、入居当初からの顔なじみは3人に1人ほど。慣れた頃にはいなくなるからだ。この主婦は訴える。「親の面倒を見るかのようにしてくれた職員が、どんどん辞めている。専門職にふさわしい給料が必要です」

毎日新聞 4月27日(日)8時38分配信

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2014年4月12日 (土)

高齢世帯、4割超に=2035年に41道府県―厚労省推計

 65歳以上が世帯主である高齢世帯の割合が、2035年に41道府県で4割を超える見通しであることが11日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所がまとめた将来推計で分かった。
 10年の国勢調査を基に、35年までの25年間について、5年ごとに世帯数の変化を予測した。
 それによると、総世帯数は20年の約5300万がピークで、35年までに沖縄を除き減少に転じる。1世帯当たりの人数は全都道府県で減少し、最少の東京は1.87人まで落ち込む。
 高齢世帯の割合は、10年には都市部や沖縄などで20%台だったが、20年には全都道府県で30%を超える。35年には41道府県で40%を超え、秋田では52.1%に達する。75歳以上の世帯の割合も、35年には愛知、東京を除き20%以上となる。

時事通信 4月11日(金)17時1分配信

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2014年3月26日 (水)

介護制度手続き -親が倒れて安心な町、心配な町

 高齢の親が脳や心臓の病気、骨折などで入院したら……。年末年始に帰省して「親の介護」が頭をかすめた人も多いことだろう。いったん病気になると、杖や介助がないと自由に動けなくなることも珍しくないからだ。実は、万一親が倒れた場合、身内がいかに早く関連する制度の「手続き」をしてあげるかで、親の「生活の質」に大きな差が出ることをご存じだろうか? 

 たとえば、高額な医療費の自己負担限度額を超えた分が支給される高額療養費。その限度額を超える分を最初から支払う必要をなくす限度額適用認定証。自力生活が難しくなれば介護認定。後遺症が残るなら身体障害者認定も視野に入れることとなる。これらの制度は、ほとんどが申請しなければ何も始まらないものばかり。いくら健康・介護保険料を滞りなく支払っていても、誰かが動かない限り何も始まらない。

 また、その手続きはどれも複雑で時間がかかる。介護認定を例にとると、まず保険者(国保なら住民票のある自治体)に申請を出す。その後本人への調査が入るが、結果が出るまで1カ月近くかかる。つまり、退院後すぐに介護保険を利用したサービスを利用したければ、入院中に申請を出すのがベストだが、遅れる人も多い。特例として認定前からサービスを利用することもできるが、認定されなければ全額自己負担になるし、認定されても申請をした日までしか自己負担の減免はさかのぼることができない。

 身体障害者手帳の申請になるともっと話は複雑だ。自治体への申請はもちろん、主治医(指定医)に診断書・意見書も依頼しなければならない。また、手帳に貼るための本人の写真も撮る必要がある。これが意外に面倒で手間がかかる。さらに、手帳が発行されても、駐車禁止等除外標章は所轄の警察署、NHKの受信料減免はNHKや自治体、有料道路通行料金割引は自治体の福祉窓口などに申し出る必要がある。いや、そもそもこんな制度があること自体、高齢者は知らないし、自分で手続きすることも難しい。身内がしっかり調べ、動いてあげることが必要だ。


 加えて、身体障害者向けの制度は、地域によってかなり差があることも、手続きがわかりにくい原因の一つだ。たとえば、東京都墨田区の1級所持者なら年額3万円分の心身障害者福祉タクシー料金・自動車燃料費助成共通券、都営交通無料パスが支給されるが、他県では一切ないところも。

 同様のことは介護保険料にもあり、保険料は介護保険を利用する人がどのくらいいるか、またどんなサービスの需要が多いかなどによって変わる仕組みになっている。

 参考までに第1号保険料(65歳以上)の介護保険料を例にとると、現在(平成24~26年度:第5期)の全国平均は月額4972円だが、自治体別に見ると月額2800~6680円と4000円近い地域格差がある(表参照)。厚生労働省は現在、介護の必要度が低い「要支援1、2」へのサービスの一部を全国一律の介護保険サービスから市町村事業に移行させる見直し案を検討中と伝えられている。これが始まったら、さらなる地域格差が生まれる可能性もある。

 離れて住む親にしてあげられることは限られる。しかし、もし親が倒れたら、親が住む地域の介護関連制度を調べ、その複雑な手続きを手伝ってあげることが重要であることを心得ておこう。
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文=保健ジャーナリスト 西内義雄 

プレジデント 3月26日(水)11時45分配信

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2014年1月22日 (水)

アルツハイマー、血液一滴で診断 愛知の研究チーム開発

 血液一滴でアルツハイマー病の兆しがわかる――。こんな技術を愛知県の豊橋技術科学大学や国立長寿医療研究センターなどの研究チームが開発し、21日に発表した。高性能半導体を使う世界初の技術で、2015年度の実用化を目指す。がんや生活習慣病の早期発見にも応用できるという。

 血液や尿を一滴とり、半導体イメージセンサーを使って、抗原抗体反応で生じるわずかな電気量の変化を読み取る。研究チームはこの技術で、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドベータというたんぱく質の検出に成功した。

 従来の技術では1検体につき測定に数時間、1千円ほどの経費がかかる。血液も1~5ミリリットルが必要なので、病院で採血しなければならない。新技術は市販の簡単な器具を使い自宅で採血。1検体で約10分、100円以下で測れる。
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朝日新聞社

朝日新聞デジタル 1月22日(水)11時26分配信

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